あ (AHP/立波)
が降ったら一日中家に居よう。本当は元からパーティーなんて気分じゃないし、フェリクスは人見知りが激しいから向いてないし。ただ、今回はどこだかの豪邸の庭で開かれるらしい屋外パーティーだから、雨が降ってしまえば中止。もしかしたら屋内に変更されるかもしれないけれど、連絡されていないから(っていう言い訳)。 そしたら、と言っても特に何がしたいわけでもないけど、お腹がすいたらパルシュキでも作ってやって、眠たくなったら寝ればいい。他愛のない、きっと明日には忘れてしまうような取り留めのない話を交わして、話が尽きたらキスをする。 まあようするに、二人せっかく家にいられる休日だから、なるだけだらだらと怠惰な一日を過ごしたって、いいじゃないかなんて。(口にはださない、ささやかな反抗)


い (戯言/人出)
い加減に人識はもっと僕のことを分かってくれてもいいと思う」 「いやいや、これ俺のせいか……?」 「僕はいつだって人識に心も身体も満足して欲し、」 「頼んでねぇよ!」 「そうやって要らなくなったら使い捨てするんだ…。そうやって何人泣かせて来たの」 「頼むから誤解を招くような事を言うな!!」 「人識は僕のこと嫌いなの!?」 「あーあーあー分かった、分かったから。俺が悪かった。俺がお前のこと分かってやれなかった、」 「じゃあ買ってきてくれるの?さっすが人識ー分かってるぅー!」 「……プリン1つでそこまで騒ぐなよな」


う (復活/レオ白)
ーん、と唸りをあげながら目の前に置かれた小さな袋を、白蘭はさっきからずうっと見つめていた。袋の中には白くてふわふわした、あまいマシュマロが窮屈そうにつめられている。食べようかなあ…でもなあ…、 「白蘭サマ、それ、召し上がらないんですか?」 「あ、レオ君帰ってたんだ。気付かなかった」 声のしたほうを振り返ってみれば見慣れた黒髪の青年が立っていて、不思議そうにこちらを見ていた。 「俺さあ、最近太ったと思わない?」 「は?」 「流石にそろそろ食べすぎかなあ…」 つかつかつかつか…だんっ! 「お言葉ですが白蘭サマ、自分の平均体重ご存知ですか!?あと何キロ増やせば平均的な体重か分かって仰ってるんですか!?女性も羨む体重ですよ!!?」 普段こんなにぺらぺらと喋るタイプじゃないのに、急に、その真丸い黒目が零れ落ちそうなくらいに目を見開きながら捲し立てられた。 って、あ、 「レオ君、その口ぶりだと俺の体重知ってるね?んん?」 「っ……!!」 あ、止まった。レオ君分かり易いなあ… 「え…っと、あの、その…心配でっ!!」 さっきまで強気だった瞳を黒白させながら、慌てて弁明を始めようとしているのがおかしくて、こちらとしてみればもうちょっと強気であってもいいんだけれど。 「ですから、その、白蘭サマはもっと太った方がいいんです…」 あ、ほらもう目を合わせてくれない。急にシャイになっちゃうんだから… ああでもこんな些細なところで愛されてるなあとか思ったりもするけど。


え (首/静臨前提 臨也+波江)
画のエンドロールがあまりにも感動的なオーケストラをバックに、つらつらと流れて昇ってゆく。内容自体はなんてことない、普通、というのがぴったりくる洋画のゆるいラブストーリーだった。何をするでもなく、ただ静かだったから、目の前にテレビがあったから、手の届くところにリモコンがあったから、そんな理由でスイッチを入れたらたまたま映った映像を、ただただ眺める。眺める、 「あら、やっと終わったの。随分熱心に見てたじゃない。面白かった?」 いつのまにか現れた(もしかしたらずっと同じ部屋にいたかもしれない、)波江が興味なさげに問い掛ける。 「わからない。わからないよ、座って待っていれば幸せになれる恋愛なんて。スリルの威圧がわからない、憎悪の歪みが見られない、歓喜の叫びが聞こえてこない!……ねえ波江、人間を楽しむために一番大切なものは何だろう」 「理想が高すぎるんじゃない?」 きっと池袋の、金髪の彼を想って、臨也は宙を仰ぐ。 馬鹿ね、知らないわよそんなの、と心の中で毒づきながら手の中のマグの黒くたゆたう珈琲をすする。 「貴方がもう少し素直にでもなってみたらいいんじゃないの?」


お (戯言/萌僕)
はようございます、という割とありふれた一言を聞けた朝は得した気分になる。如何せん堕落しきった大学生であるから、毎日必死に働いている彼と共有する活動時間はそう多いものではないし、仲でも朝は特に貴重。大学まで近いのはそれだけで幾分得だと思って朝寝坊は日課。それだから朝早い真面目な労働者と朝に顔を合わせることは物理的にほぼ不可能と言える。 結論から言うと今朝は得をした。萌太君自身も僕が起きていることに驚いていた様子だった。朝の一服のためにアパートの廊下部分に出てきた音を聞いて僕も顔を出し、一言。ついでに、と言って朝食を作ってご馳走してくれた。そういえば久々に腹にものを入れた気がする。短時間の会話と満腹感で、大学に行くのが苛まれたけど、授業サボっちゃ駄目ですよ、の一言で却下。失礼な。それでもいつも言えない「いってらっしゃい」が言えたことで更に幸福感を噛みしめる。 これが徹夜明けじゃなかったらもっと良かったんだけど。
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